書店で何気なく手に取った本です。レジに持っていくのがなんとなく気恥ずかしい・・・と思いながら、コソコソと支払いをした記憶があります(笑)実際に読んでみたら、一生懸命に育児に奮闘した素敵なお母さんの本でした。
いわゆる教育ママ!ではない
教育ママ!のイメージって悪いですよね~。子どもをガミガミ叱り付け テストの点数に一喜一憂して、親のエゴの塊のようなイメージです。私は書店で手にしたときタイトルからそんな想像をしてしまったのかもしれません。。。
3兄弟が全員東大理Ⅲに合格し、後に末の娘さんも合格したので4人の子ども全員です。悪い教育ママのイメージを抱きつつも、興味が勝り購入しました!
佐藤亮子ママ、バイキングなどにも出演され、ゲストの皆さんにすごい非難されてました。実際に本を読んでみたら、テレビとは全く違う印象です。テレビって怖いなぁと思います。編集の仕方が極端なんですよね。
実際の亮子ママは口だけ番長のいわゆる教育ママとは違うようです。子どもを感情的に叱り付けたりはせず、楽しく勉強ができるよう環境をととのえ、サポートをしていただけです。
これはテレビやネットで部分的に切り取ったものを見聞きするだけでは伝わらないので、実際に読んでみることをお勧めします。
「こんな風に私はできない」という声が多い
テレビやネットでは「我が家では亮子ママのようにできない」という声を多く見ました。確かに亮子ママのやっていることを実践するのは難しいです。
だからこそ、亮子ママってすごいんです。普通の一般人ができないことをやっているからこそ、子ども全員が驚異の東大合格を果たしているわけで。
亮子ママは「このようにすべき!」とは一言もいっておらず、押し付けてもいないのですがテレビだとそのような構図にしたてられてて気の毒に思いました。
そして亮子ママ自身も著書でこのように言っています。「あくまで我が家の話であり、すべての方には当てはまらないかもしれない。でも、少しでも皆さんのお役に立つならうれしい。」と。
なので、こんなこと無理!とシャッターを閉めてしまうのではなく、亮子ママの経験の中からできそうなこと、共感できそうなことを取り入れてみようというラク~な感じで読んでみるといいと思います。
亮子ママのしたことは「環境を整えること」
シンプルにいってしまえば、亮子ママのしたことは「環境を整えること」だけなのです。
アドラー心理学での考え方なのですが「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」というのがあります。これは子どもの勉強にもよく置き換えられる例えなのですが、勉強したくないという子どもに勉強をさせることはできない、親ができることはせいぜい環境を整えてあげることくらいだというものです。
口だけで「宿題しなさい」「勉強しなさい」といっても、子どもは勉強しないし、お母さんとの関係も悪くなります。もっとその先にある「宿題をしない理由」を考えて対処してあげるほうが意味がありますもんね。
・・・理屈ではわかっていても「早く宿題しなさい!」と、つい言ってしまう私(苦笑)このあたりが理性的に行動できる亮子ママとの違いですよね。
家族の関係性を良いものにする
「リビング学習」「居間にテレビをおかない」など、やろうと思えばできそうな小手先のテクニックばかりが、亮子ママの教育法の中からテレビ等でよく紹介されてました。
でも、本を読んでみると一番大切なのは家族の関係づくりが基本にあるということ。
例えばきょうだい関係。きょうだいと公平に接するようにし、きょうだいが仲良く育つように亮子ママは特に配慮して育てたようです。「お兄ちゃんだから我慢しなさい」とつい言ってしまいそうな言葉も亮子ママは1度もいったことがないそうです。
梨が一切れ余ったら、包丁で4等分するという徹底振り。小さなことのようですが、これを日常であたりまえのようにやるのは大変なことです。
うちは子どもたちがきょうだい喧嘩が日常のごとく発生し、私もイライラしてしまうことが多いです。佐藤家では子供達は喧嘩もなく、勉強も互いを尊敬しあいながら教えあいしていたそうです。
家庭は小さな社会だから、きょうだい喧嘩も大切とよくききます。ですが、実際には大人になってもきょうだいでいがみあったり、子どもの頃、親にきょうだい間で差別を受けたと恨みをもっている例もききます。
きょうだい喧嘩は良くあること・・とおおらかに構える気持ちも大切なのかもしれませんが、親の対応の悪さ、無意識に子ども同士を比較したり、どちらかに我慢をさせていることが多いと精神的な歪みをきたすのだろうと思います。
著書では、第1章できょうだい間、夫婦間、親子間の関係性についてかかれています。これを読むと、佐藤家がとてもあたたかく、おだやかな家庭であったということがわかります。
普通に考えて4人の子育てって大変だったろうなと想像がつきます。亮子ママは専業主婦でしたが、インテリアや趣味など自分の時間を楽しむことにあまり時間は費やしてこなかったようです。子どもが受験勉強で遅くまで起きていれば一緒に起きていて、かといって昼寝をするわけでなく、昼も子どもの教材の準備。
子どもとの時間を何より大切にし、思いっきり育児を楽しんだ結果が、4人全員志望校への合格だったのだと思います。
第2章以降は、第1章の家族の関係性がきちんとした土台になっていることが前提
第2章以降は、具体的な学習環境の整え方や、受験対策について書かれています。
ですが、これはあくまで第1章でいう親子関係等がうまくできていないと難しいと感じます。
ネットで炎上したりするのは2章以降から部分的に紹介されているからだと思います。
例えば・・・佐藤家ではテスト前の学習計画は、亮子ママがたてるというもの。18時~19時生物問題集20~30ページ。19時~20時英語プリントNo2,3・・などです。
これだけ見れば「え!?」ってひきますよね。こどもにも反発されてしまいそうです。
ですが、佐藤家ではこれが普通に成立するような親子関係が確立されているからできるようです。亮子ママは、ご飯も作れる家庭教師のような感じです。
子どもが幼い頃から一緒に勉強してきたので、学校の授業の進度はもちろんのこと、子どもが問題を解くのにどのくらい時間がかかるかを把握していました。なので子どもにとってはうるさいお母さんではなく、頼れる先生のような存在だったようです。
これについては本の後半にQ&Aがあり、「佐藤さんは教師の資格をもっているから子どもの指導ができたんじゃないですか」という質問があります。
それに対して亮子ママは「大事なのは、一緒に学び、手伝い、それをお母さんも楽しむという姿勢です」と答えています。「私はやらないけどあなたはやりなさい」じゃなくてお母さんも一緒に勉強する姿勢で取り組むと、子どもも勉強が楽しくなると。
自分のことを二の次にして、子どもとの時間を大切にしたお母さん
賛否両論いろいろある本ですが、今回あえて擁護するような感想を書かせてもらいました。
これは私への戒めもあります(苦笑)
子ども「おかあさーん、○っていう漢字どう書くの~?」
私「聞いてばかりいないで自分で調べなさい!」(スマホしながら・・・)
たぶん亮子ママなら、わからない漢字の調べ方を教えてあげたり、この子はこの漢字が苦手なのねとちゃんと記憶して次にどんな風に勉強させてあげればわかるだろうと、寄り添って一緒に考えてあげるのだと思います。
でも、私は「自主性が大切~」なんて自分に言い訳しながら、子育てより自分の時間を優先してしまうところがあります。ほんとうに子どもと向き合える時間は人生の中では短いかもしれません。
信念をもちブレずに育児に一生懸命にとりくんだ亮子ママは素敵だと思いました。
できるだけ子どもたちに公平に接して、私も子どもとの時間を楽しみたいと思いました。感じ方はひとそれぞれです。興味があった方は是非、読んでみることをお勧めします。