保健師って何をする人?【保健師の仕事内容】

保健師という仕事

 私は医療技術系の短期大学を卒業した後、『保健師(ほけんし)』として働いています。保健師のほとんどが地方自治体などの行政で働いている人がほとんどです。

 私も、地方自治体で働いていましたが、転勤族の夫と結婚し退職。その後も、夫の転勤先で産休代替の保健師や、病院で看護師として働いたり、産業保健師も経験しました。保健師について語ることは沢山ありますが今回はそもそも保健師って何をする人っていうところを書きたいと思います。

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保健師と会ったことがない人が多い

 「何のお仕事をされているんですか?」ときかれたとき、看護師は社会的にも認知されているので、説明がいらないのですが、保健師は説明しないとわかってもらえないことが多いです。

 子育てをしているママさん世代以上だと、こどもの健診で保健師に出会うことが多いので「あぁ、保健師さんね!」という反応ですが、それより若い世代や男性だと普段はあまり会うことが少ないかもしれません。

 自治体主催の健康教室に自分から参加したり、メタボ健診でひっかかって保健指導を受けるように健康保険組合から言われたりすれば会うかもしれません。

また、ご自分や家族に何らかの健康や生活上の不安や心配があり、市役所や保健センター、保健所などに相談にでもいかなければ会う機会が少ないでしょう。

保健師は保健指導を業とする人・・・だけど、ちょっと違う

 保健師は法律的には「保健指導を業とする人」です。こういうと、なんだか口で上から「指導」することを仕事にしているイメージですが、実際には違います。

ちょっと口が悪いとママ友の間で評判の方に「保健師?あー、あのお説教する仕事をしてる人ね!」と言われたときはちょっとショックでした。でも、そういうイメージを与えてしまっているのなら反省しなければいけませんね。

保健師は「病気になるのを予防する人」であり、「対象者が自らの力でセルフケアする能力をもてるよう援助する人」です。固い説明ですね。もう少しかみくだきます。

セルフケアとは、自分自身の健康管理能力です。

口で「病気になりますから3食バランスよく食べてください」「虫歯になるので歯を磨いてください」と言うだけが仕事ではありません。言うときもありますが(笑)

3食しっかり食べられない人がいたら、どうして食べられないのか、その原因を考え、食べられるようになる方法を一緒に考えるスタンスです。

そして、個人だけでなく地域全体が「健康」であるように、いろんな手法を使い住民と地域の健康を守るのが仕事です。

保健師の支援、活動の対象は・・・全ての人!

助産師さんなら妊産婦や乳幼児が支援の対象です。精神科医なら精神疾患の患者さんが対象です。保健医療福祉の専門職なら、このようにだいたい対象の範囲がきまっています。厳密にはその家族も含むので必ずしもその枠内にはおさまりませんが・・・。

保健師の場合、対象は赤ちゃんから高齢者まで。全年齢層全ての人です。

そして、「病気になった人」だけが対象なわけではなく、「放っておいたら病気になりそうな人」も対象です。また、「現在、健康な人」も対象です。

とにかく地域に住む人全員なのです。

保健師は具体的にはどんなことしているの?

保健師の働く場によって多少ちがってきますが、いろんな手法を駆使して、対象者のセルフケア能力がアップするようサポートや病気の予防のための活動をします。

地方自治体で働く保健師を「行政保健師」といいます。行政保健師の場合の仕事の例として・・・

妊婦さん対象・・妊婦健康教室の開催や、母子保健手帳を役所の窓口で交付する際に、体調を伺ったり、産後の生活の不安がないかをきいたりします。必要に応じて家庭訪問をしたり、様々なサービスを紹介したりします。

産婦さん対象・・赤ちゃん訪問(新生児訪問)をして、産後のママの体調も含め、赤ちゃんの発育発達の確認や育児の相談事にのります。

乳幼児対象・・・乳幼児健診(4か月児、10か月児、1歳6か月児、3歳など)。自治体によっては小児科のクリニックなどに委託していることもあります。発育発達がゆっくりなお子さんを対象にした相談の場や、教室を開催したりもします。

成人対象・・・各種健康診断を実施したり、病気の予防のための教室(「糖尿病予防教室」など)を開催。

高齢者対象・・・地域の高齢者の相談窓口である地域包括支援センター(地域包括支援センターにも保健師がいます)と連携して、高齢者の総合相談に応じます。行政は地域包括支援センターでも対応できない処遇困難ケースの最後の砦でもあります。

保健師の活動の仕方にはいろんな手法がある

健康教室や家庭訪問、電話相談、来所相談など、個人から集団など対象に応じていろいろな手法で活動をします。

また、行政の場合は「保健計画」などを策定をし、地域全体が健康であるためにはどんな街づくりが必要なのかというのを、行政の中のいろいろな部署と連携をとりながら考えていくことも仕事です。

行政以外での保健師の働く場

企業や健康保険組合、健診センターなどにも保健師がいることがあります。企業の場合は、産業保健師と言われています。

行政保健師は地域に住む人全てが支援対象であったのに対して、産業保健師は、その企業で働く人が支援対象です。

法律で定められている健康診断を実施するよう調整したり、健診の結果によっては必要時保健指導をおこないます。また、過重労働対策や、メンタルヘルス対策なども近年は重要な業務となっています。

健診センターだと、もっと対象が限定的になり、健康診断の受診者になります。健診の結果に応じて個々の健康相談や、集団を対象に健康教室の企画や運営を行ないます。

まとめ

「保健師って何をする人?」ときかれたら、正直、一言で答えるのが難しいです。

あえて、一言でまとめるとすれば「病気を予防するための仕事をしています」でしょうか。。。

実際は病気になった人の療養上の相談にものったりするんですが・・・。メインは予防活動なので!

 よく「保健師さんって、看護師さんの上の資格なんでしょ。すごいよねー」といわれることもたまにあるのですが、それは違います。保健師と看護師は、同じ看護職ですが仕事の内容がそもそも違うので、上も下もないのです。

そのことについてはまた別の記事で書いてみたいと思います。