特定保健指導の仕事って働きやすい?保健師が実際に特定保健指導をしてみて感じたこと

保健師という仕事

 私は元々は行政の保健師として5年ほど働いていましたが、転勤族の夫と結婚して退職しました。その後は様々な職場で働き、今は気がつけば白髪まじりのアラフィフです… 今回の記事では保健師の行う「特定保健指導」のお仕事の体験談をお話したいと思います。働きやすさ、そして大変さも含め、私の率直な感想をお伝えします。

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どのような職場形態で「特定保健指導」をするかによって働きやすさは違ってくる!

「特定保健指導」と一言でいっても働く場は様々です。大きく分けると以下の3つになりそうです。

①健診を受けた健診機関や行政の特定保健指導の相談会場に対象の方に来て頂き面談をするもの(主に常勤やパートの職員として対応することが多い)

②対象の方が働いている職場に保健師が訪問し、受けていただくもの (主に特定保健指導のアウトソーシングの会社で勤務している常勤の職員、もしくは業務委託契約をしている保健師、管理栄養士が対応)

③オンラインで画面越しに対象者のかたと面談をするもの(主に特定保健指導のアウトソーシングの会社の職員や、業務委託の保健師、管理栄養士が対応)

以上の3つについて、ひとつずつ説明していきますね。

①健診を受けた健診機関や行政の特定保健指導相談会場に対象になる方に来て頂き面談するケース

あくまで私の主観ですが3つのケースのなかで、保健師が最も面談がしやすいのではないかと思います。

というのは、面談会場にわざわざ来てくださっているお客様(対象者)は、その時点で自ら「生活習慣を変えよう」「変えたい」と思っている方が多いからです。保健師に対しても好意的な方が多く、お話も弾みます。また、行政や協会けんぽ等で「特定保健指導の相談日」というのを設けて行う場合は、夫の被扶養者(専業主婦の奥様)であることも多いです。そういった方は、健康づくりに対して前向きな方が多い印象です。

また、会社にお勤めの方でも健診機関でそのまま特定保健指導を受ける場合、「相談を希望する」という欄に〇をつけてくださっている方に行うことが多いため、こちらも面談がとても対応しやすいことが多いです。(〇をつけていない方にも面談の声をかける健診機関の方針もあるので、一概にはいえませんが)

ただし、健診機関や行政の他にも、健康保険組合が産業保健師を自らの企業の社員として雇用していた場合、その企業の健康管理室等で面談を行うケースもあるかと思います。この場合は対象者の方に「来ていただく」ケースではあるものの、会社から指示されたから仕方なく面談を受けているというケースが多いかと。 なので、この場合は上記のケースと対象者の方の雰囲気が違ってきます。

また、保健師がいる場所にお客様に「来ていただく」ことは、保健師が車や交通機関を使って移動する必要もないため、移動にかかる時間的な負担や、事前に訪問場所や駐車場などを確認する必要もないため楽でした。 

この働き方の場合は健診機関の常勤やパートで勤務するケースが多いかと思います。事業主と雇用関係にあるため、月々のお給料が安定しています。面談する人数が多くても少なくても頂ける給与が同じなのは生活が安定しますね。

ただし、職場の人間関係が煩わしい…と思う方は②対象の方が働いている職場に保健師が訪問し、受けていただく一匹狼的な働き方のほうがあっているかもしれません。

これは、職場によるので何とも言えませんが、面談が個室を与えられていて落ち着いた環境でできる場合もあれば、他の同僚の相談内容が丸聞こえの職場もあります。自分の面談内容が毎回、上司や同僚に聞かれているのは、特にまだ特定保健指導に慣れていない頃は私は疲れました・・・(自信がないからこそだと思いますが)

組織の一員として働く場合、面談件数や継続支援が最終回までいったかどうかなど・・・結果をしっかりもとめてくる職場もあります。私はそれがプレッシャーに感じることがありました。(業務委託の場合は、そこまで求められない印象でした)

また、健診機関で働く場合は特定保健指導以外の業務(例えば採血など)も必要条件とする職場もあります。自前の検診車をもっている場合は、早朝からあちこちに出張するケースも。

この辺りは健診機関によって違ってくるのでしっかりチェックしておくといいと思います。

②対象の方が働いている職場に保健師が訪問し、面談するケース

主に特定保健指導のアウトソーシングの会社や健康保険組合等で勤務している常勤の職員、もしくは業務委託契約をしている保健師、管理栄養士が対応することが多いですね。巷にだされている特定保健指導の求人はこちらのケースが一番多いのではないでしょうか。大手だとSOMPOヘルスサポートやベネフィット・ワンなどがよく知られています。

メリットとしては、自宅から面談場所まで「直行直帰ができること」です。業務委託の場合は「フリーランス」という働き方になります。自分で顧客とアポイントをとり、スケジュールをたてられることも自由度がありますね。

私は健康保険組合でも働いたことがありましたが、その時には事務のかたがスケジュールを決めていたので業務委託で働いていた時ほどの自由度はありませんでした。それでも、子どもの学校行事がある日などは事前にその日は面談の予定をいれないでもらうことができたのは良かったです。

「特定保健指導」の面談のみを担当することとして雇用された場合は、基本的に一匹狼的な働き方なので「職場の人間関係」に悩まなくていいのもメリットです。

ただ、以上のメリットは裏をかえせばどれもデメリットにもなり得ます。

「面談する場所が毎回違う」というのは初めて行く場所の場合、どのくらい時間がかかるか、車を停める場所があるかなどを事前にしっかりチェックしなければいけません。しっかりチェックしたとしても、実際に予想時刻通りに着くかはわからないですし、お客様を待たせるのはご法度ですから絶対に遅刻をしてはいけないプレッシャーが毎回ありました。午前中に2か所の事業所をまわらなければいけないスケジュールの時などは冷や冷やものです。

また、こちらからお客様が働いている職場に「お邪魔する」という方法は、色々な職場を見ることができて毎回、新鮮で楽しい面もありましたが、ブラックな雰囲気の会社だと露骨に「迷惑そう」な対応をされることもありました。

また、対象となるお客様から「早く終わらせて」「正直、余計なお世話なんだけど」「これって強制なの?」など、開口一番に言われることもあります。お客様ご本人が特定保健指導を受けることに納得をされていないケースも多く、時に心が折れそうになることもありました。

一匹狼の気楽さもありますが、特定保健指導という業務に慣れるまでは色々と悩みがつきものです。常勤として勤務している場合は、職場に戻り同僚に「今日、こんなことがあってさ」と話すことで解決することもありますが、一人で自宅に帰る場合、その日は悶々としてしまうこともあります。

もちろん、業務委託等で勤務していても相談できる体制は用意はされていることが多いです。ただ、電話をしてまで話すことかなぁ~ みたいなレベルのことも多いので結局はうまく自分で消化していかないとメンタルが保てないかも。 

業務委託の場合は、一か月にいただけるお給料が決まっているわけではないので自分のやる気次第で収入が変動します。また、アウトソーシングの会社によって繁忙期が違ってくるのでやる気はあっても収入につながらないこともあります。これは業務委託の大きなデメリットでもあります。

このあたりはまた別記事にも書きたいなと思います。

③オンラインで画面越しに対象者のかたと面談をするもの

これは3つのケースの中で、私自身経験していないものです。コロナ禍になり増えた面談方法かなと感じます。

働く側の保健師からみた「オンラインの面談」のメリットは、保健師が家から(もしくは職場から)出向いていかなくていいことだなと求人をみて思いました。私の住む地域は雪が降りますので、雪の予報の前日には「あの職場までいつもは〇分だけど、余裕をみて〇分前にはでないと」などと対面の面談前には考えていましたが、天候に左右されませんし移動時間を考えなくていいですよね。

業務委託の場合、1面談〇円と決まっていることが多いですが、移動時間も含まれている会社が多いです。移動時間も時給をプラスしてくださる会社は良心的です。 オンライン面談の場合は、契約単価が直接対面よりも安いケースが多いですが、家から出ることができない事情の方には画期的な働き方なんじゃないかなと思います。

ただ、私はオンライン面談は未経験ですがフルリモートの会社で働いた経験があります。Zoomを使用し、オンラインで職場の方と会議をしたり、上司と1on1などをしていました。そのような時、Wi-Fiの問題やパソコン性能の関係で急に画面がとまってしまったり、音声が途絶えるということが日常茶飯事のようにありました。対象となるお客様にはオンライン面談が初めてのかたもいらっしゃるでしょうし、操作性に困難さを感じる方もいるのでは?というのが懸念されるところです。

また、対面での面談でも、お客様としっかり意思疎通できているか心配になるケースが時々ありましたが、オンラインだとより難しいケースもあるのでは?と思うところです。

自分の性格や経済状況にあった職場を選ぶのがおすすめ

雇用形態や職場による違いについてのたくさん書いてしまいました。「特定保健指導」そのものついては、今回の記事であまり語れませんでしたので次の記事に書きたいと思います。

「特定保健指導」の仕事といっても、働く職場によって対象者さんの雰囲気も、また職場の雰囲気、給与形態などが大きく違ってきます。業務委託で直行直帰の特定保健指導のお仕事をしていたものの、辞めた友人は「生活が成り立たなかったから」と話していました。アウトソーシングの会社の多くは繁忙期と閑散期に分かれているため、年間を通して安定的に仕事を受注できるとは限りません。

私は2社を同時に業務委託で受け持ったことがありますが、それぞれの会社によって使用するシステムの違いや報酬の申請方法なども違ってくるため、そうした事務的な仕事に時間をとられてしまい、時給に換算するとなんだかなぁと感じたこともありました。

「職場の人間関係にだけは絶対に悩みたくない!」「毎回、訪問先が違うのは緊張する」「家からでたくない」「やる気の有無にかかわらず、毎月一定額の給与がほしい」など・・・ 自分が何を一番の優先事項とするか、人それぞれだと思います。 

お仕事探しの参考になったら幸いです。

余談ですが、私はメディカルコンシェルジュという派遣会社に登録しています。常勤で仕事が決まるまでの期間、単発で特定保健指導のお仕事をいただいたこともありました。単発で受注する場合は、特定保健指導の業務経験が必須とはなりますが。

全くの未経験者ができる業務委託のお仕事なども紹介していただけます。また、ハローワークや看護協会にはでていない求人もありますのでお仕事探しをする際には目を通してみるのもおすすめです。

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